さいたま桜高等学園音楽部のこと

《さいたま桜高等学園音楽部のこと》

昨日の『歌って さいたま!』で共演した埼玉県立特別支援学校さいたま桜高等学園音楽部とは昨年度の「アカペラ合唱やってみよう」というワークショップから続けて2年めのコラボでした。

今年度はどのような取り組みをやるかの打ち合わせをしたのが今年3月。

そのときに一緒に曲を作りたいと提案しました。

昨年西日本豪雨のときに愛媛県野村町で子どもたちと一緒に町のテーマソング『のむらのうた』をつくって手応えを感じていたので、さいたま桜のみんなとも一緒につくりたいと思いました。

そして最初の曲つくりワークショップが8月に開催。「歌は心を伝えるもの、みんなの普段感じる喜怒哀楽その他感情を教えてほしい。」と伝えてグループに分かれそれぞれ話し合いました。

そこで出たのが『フォトフレーム』『机にかざっていると嬉しい』『雲がかかった晴れがいい』という歌詞の元になるエピソード。どれもさいたま桜のみんなの日常を感じられる素敵な世界だと感じました。

そのあとワークショップの事前にいろんなテーマで作文を書いてくれていたものをいただきそこから『進路』『教室』を選びメロディをつけさせていただきました。

『進路』はほとんどの生徒が一般企業に就職することを目標に日々学校で「生産技術科」「家政技術科」「工業技術科」「環境・サービス科」
とそれぞれ職業訓練を受けるなかで感じている青春のもやもやをロックリズムにのせて叫んでほしいなと思ってつくりました。進路ックです♪

『教室』はとある女子生徒の作文をほぼそのまま歌詞にしてメロディをつけさせてもらいました。

さいたま桜のみんなの日常がまるで一枚一枚の写真のように切り取られたような作品が集まったのでそれを並べる『フォトフレーム』を組曲タイトルにしました。

思っていたより壮大な曲になってメロディや歌詞を覚えるのが大変かなとも思ったんですが、きっとみんなならイケる!と根拠なく信じて音源と歌詞を渡したら2週間くらいで歌えるようになっていて、一ヶ月でみんな歌詞も完璧に覚えてました。やっぱり自分の心から出たものなので入りやすかったのかな?

さいたま桜のみんなと会うまで僕は特別支援学校のみんながどういう人たちでどのように生活しているのか全く知らなかったので、最初は緊張もありました。

でも会うたびに仲良くなっていき、彼ら彼女たちに会ったあと、また次に会うことが楽しみになっていきました。

一年目のコラボで学内での発表コンサートが終わったあと、みんなから授業でつくった巾着袋とティッシュケースをプレゼントしてもらいました。

それはとてもかわいくて、つくりもしっかりしていてもらった瞬間愛着が湧き毎日持ち歩くようになりました。

仕事柄旅が多い僕は乾燥肌なので保湿クリームを巾着袋に入れて、メガネ拭きも必需品なのでティッシュケースに入れていろんなところに持ち歩いています。

その気持ちを『机にかざっていると嬉しい』の歌詞中『誰かのカバンの中で誰かの役に立って 誰かの住む町へ旅してくれたらもっと嬉しい』という部分を僕の創作で加えさせていただきました。

昨夜の演奏のときのみんなの歌声はこれまでの練習してきた中で一番でした。みんなの心が歌にのって客席に届いたと思います。彼ら彼女らが自分の気持ちを誰かに伝えることを楽しいと思ってくれたらいいなと思ってやってきましたが、間違いなく昨日は楽しんで歌ってくれていました。それが僕は嬉しかった。

さいたま桜高等学園

【特別支援学校の生徒に音楽を教える】ということを、「きっといろいろ大変でしょう」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

僕はシンプルに楽しんでいました。
彼ら彼女らと一緒に歌い、ハモり、曲を作り練習することが楽しくて楽しくて仕方なかった。
みんなと一緒にいると自分の心が爽やかになるんです。
それはまぎれもなく「ともだち」との関係です。

ともだちと一緒に過ごすことが「大変」なわけがありません。

さいたま桜の先生方みなさん、本当に熱心で素晴らしいと感じていましたが、きっと同じく、楽しまれているんだと思います。

来年度もさいたま桜のともだちと一緒に音楽を楽しみたいと願っています。

以下に歌詞を掲載させていただきます。彼ら彼女らの瑞々しい心の響きをぜひお楽しみください。

・・・・・・

さいたま桜高等学園組曲「フォトフレーム」
作詞:さいたま桜高等学園音楽部のみんな
作曲:杉田篤史

『フォトフレーム』

フォトフレーム
少しはみだしちゃったが
うまくできた
自分で作れた
最後まで作れたことが嬉しい

『机にかざっていると嬉しい』

机にかざっていると嬉しい
可愛いくてどれが一番なんてことは選べない 机にかざっていると嬉しい

先生にこうしたほうがいいよと言われても
気にはするけど 気にするけど
どれも可愛いと思えるし

そしてお客様が買ってくださって
けっこう使ってくれれば
もっと嬉しい もっと嬉しい
誰かのカバンの中で
誰かの役に立って
誰かの住む町へ旅してくれたら
もっと嬉しい

『進路』
楽しみだけど 不安が勝つ 進路
実習を頑張って 自分にあった仕事ができる 進路
親に頼らず 一人でなんでもできる 進路
誰か人のために 役に立てるような 進路 進路

君には色んな進路がある
たくさんの会社があるんだから
まよえ まよえ まよえ
進路 進路 進路 進路
(未来につなごう)
(そのために働きにいこう)

『教室』
毎日通う教室 毎日使ってる机とイス
毎日廊下から にぎやかな声が聞こえる
三年間使ってる 教室とももう数ヶ月で
お別れなのはさびしい

朝と昼になると 窓から見えるバスケ
座学のときに見える 一年生の専科

教室はせまいけれど 色んな景色が見れたり
色んな音や声が聞こえる

教室は自分の居場所 教室は学校で一番
思い出に残る場所だと思う

教室は自分の居場所

『雲がかかった晴れがいい』

雲がかかった晴れがいい
だってちょうど涼しいから
雲がかかった晴れがいい
だって雨はバシャバシャうるさい

曇りが好き だって雨もふらず 暑くもないから でも毎日曇りはやだ 暗い気持ちになるから

雲がかかった晴れがいい
だってちょうど涼しいから
雲がかかった晴れがいい
だって暑すぎるのはもうげんかい